実施上の注意点


 

◆使用の対象者

 

さて、

エンプティ・チェアの技法は、

クライアントの方の心理構造に、

ダイナミックな変化を与える、

強力な技法です。

 

そして、強力な分だけ、

使う対象者を選ぶことにもなります。

誰に対しても使っていい、

という技法なわけではないのです。

 

エンプティ・チェアの技法で行なうことは、

原理面のところで見たように、

複数の自我(欲求)状態を、

活発化・流動化させて、

統合・再編集する作業です。

 

そのため、

感情の統御や、

人格的な統合力をある程度有した、

健康な水準にあるクライアントの方が、

対象となります。

 

つまり、

心理的な解離を、

防衛的な態勢として行なっている、

脆弱な人格構造の方に対して使うのは、

あまりよろしくないのです。

そのような人の、

防衛的な態勢をむやみにかき回すのは、

大変危険です。

 

これも、程度問題なので、

人格の水準の違いによって、

逆に非常に大きな効果を出す場合もありますが、

大枠では、このような見方を取っておく方が、

安全であるということです。

 

そのため、

この技法の使用に当たっては、

対象者の水準をよく見極めて、

クライアントの方の安全感を第一に、

小さな範囲で、

慎重に用いることが望ましいのです。

 

 

 ※ゲシュタルト療法の全体については拙著

『ゲシュタルト療法ガイドブック 自由と創造のための変容技法』

をご覧ください。

※エンプティ・チェア技法の詳細な手順や、応用的な使い方、

また、気づきや変性意識状態についての、

総合的な方法論は、拙著↓

入門ガイド

『気づきと変性意識の技法:流れる虹のマインドフルネス』

および、

『砂絵Ⅰ 現代的エクスタシィの技法 心理学的手法による意識変容』

をご覧下さい。